私の祖母は今年で101歳になる。
この近所では戦争を体験した人は祖母だけだ。
戦争を体験した人がこの国から少なくなっているというのを、毎日のようにメディアで目にし、耳にするけれど、本当にそうなのだと実感するしかない。
戦地に行った祖父は、夏になるとよく軍歌を歌っていた。
「ここはお国から離れて何百里、遠き満州~」という歌い出しの軍歌だった。
そう、祖父は満州に行っていた。祖父自身は、その時のことは思い出したくないと言って、多くは語らなかった。けれど、夏になると思い出されるしかないのだろう。テレビから流れる甲子園の試合のサイレンを聞くと、空襲警報だっと言って騒ぎ出すことがあった。
今でいうPTSDみたいなもの(PTSD(心的外傷後ストレス障害)とは、生死に関わるような強いトラウマ体験(外傷体験)の後、その体験が忘れられず、日常生活に支障をきたす状態)なのだろうかと思う。まだ小学生だった私は、そういうことがよくわからない分、祖父をかわいそうと思うよりは怖く感じてしまったが、戦争は実際にあったこと、なのだ。と思った。
戦争についての恐ろしさを感じる人が少なくなってきてしまった、それを感じる。と、平和祈念館など戦争について知る資料館に携わる方々が来館する人たちの感想を通して、危機感を抱いたという記事やニュースを数年前に見聞きしたが、もしかすると戦争を体験した方々もそういった恐れを肌身に感じられることが起きているのかもしれない。
体験をしたことがある人に出会って、聞くことに確かな重みを感じるのは、そこに痛みと苦しみがあるからなのだと、改めて思う。
私は、チョンミョンソク牧師のベトナム戦争で、いかに戦争は残酷で人生、命を無惨に奪うのかをこれ以上ないくらいに味わったというその話を聞くたびに「だからこそ命が大事だ」とおっしゃる一言が心に刺さる。

韓国のマスメディアは証拠がないまま有罪になった事にはほぼ触れずに結論とイメージで報道をし、残念ながら日本でのニュース報道はその焼き回しだ。
だからこそ、この本を出版したという話を聞いた。私はこの本よりもチョンミョンソク牧師自身が書いた「愛と平和だ 戦争は残忍だった」をお勧めしたいが、ちょっと価格がなかなかなので、ハードルが高いと思う。けれども、戦場という極限状態でどのように愛を実践したのか、戦場でも神様はどのように働きかけてくださったのか、切々と語られているその言葉に動かされるものがあるはず。戦争はあってはならない。読む人全員が思うはずだ。
映画「ハクソーリッジ」は実話をもとに作られたそうだが、私はこの映画を見ながらチョンミョンソク牧師を思い出さずにいられなかった。
神様を信じる。ということは、神様が願うことを行なうこと。
それは、傷つけるのではなく愛することだ。
平和とは、愛することなのだ。と、
この映画や先生(チョンミョンソク牧師)の本を通して思う。