今日、生活の時間にチューリップの絵を描いた。
子どもたちは悪戦苦闘しながらも、一生懸命描いてた。
でも、一人の男の子が隅でうずくまっていた。
「どうしたの?」
「もう描かない!」
「なんで?」
「だって、上手く描けないもん!!ヘタくそだってみんな言うもん!!」
その子の絵を見た。
何度も何度も描いては消していたのか、紙がぐしゃぐしゃになっていた。
一生懸命上手く描こうとしてたんだろうなぁ…と、その心が伝わってきた。
「上手い、下手って誰が決めたの?先生は、あなたの消してしまった絵、すごく素敵だと思うよ。もう一度描いてみようね。」
その子が描くのを見守っていると、チューリップの花びらを描こうとしても上手く描けなくて、また消してしまった。
覗き込むと、泣きそうな表情だった。(T_T)
「大丈夫だよ、ほら、先生と一緒に描こう。」
一つ一つ描く場所を言いながら、一緒に描いた。
まず茎を描いたらいいよと教えると、物差しを取り出して直線を描こうとした。
「どうして物差しを使うの?」
「だって、まっすぐ描けないもん。」
「?!」
まっちゃんは、どうして真っ直ぐ描かないといけないのか分からなかった。
この子の中で、そう感じる経験が今まであったんだろうなぁと思った。
「真っ直ぐじゃなくていいよ。まがっていてもいいんだよ。」
「みんな物差し使ったら、みんな同じ真っ直ぐの茎になって面白くないよ。自分で描く線だから味があっていいんだよ。」
そう伝えながら、一緒に描いた。
一生懸命描いたのが分かる、素敵な絵ができた。
その子も嬉しそうにしていた。
その後、まっちゃんが他の子どもたちの所も回り、再びその子の所に行くと、もうそこにはいなかった。
その子がいた場所に描き終わったプリントが落ちてたから、
「あれ?忘れていったのかな?」
「違うよ、先生。あの子、『どこかに飛んでいったけど、どこにいったか分からんからもういい。』って言って、探すの諦めて教室に帰ったよ。」
上手くできない事、見つからない事があると、すぐに出てくる「諦め癖」を持っている子。
持ちたくて持ったわけでもなく、そういう経験が重なってできてしまった傷。
その心が治るように、「できる」というキラキラのお薬を塗ってあげたいなと思った。
<自分>は地球世界でたった一人だけだ。これが「個性」だ。
その土台の上に「才能」を発揮するようになる。
その「才能」を発揮する人も世界で自分一人だけだ。
まっちゃんも、お師匠に「自分の価値」を教えて貰ったよ。
これから一年間、一緒に頑張ろうね☆☆☆