今年の6/16の国会にて、約110年ぶりに強姦罪の改正がなされました。
今までの刑罰とどのように違うのか、「性犯罪厳罰化」の内容をまとめてみましたが
違いについて具体的に知っていくときに自分があまりにも知らなかったことが多くて無知さを味わいました。

自分が「性暴力」はどこか遠い話だと思っていたのですが、まったくもってそれは間違った認識だったことが分かりました。
そして、性犯罪・性暴力を撲滅するためには
もっと多くの人がこの事実を知るべきだと思い記事を書くに至りました。

「強姦罪」・「強制わいせつ罪」の違い

まず今までの強姦罪・強制わいせつ罪とはどういう内容だったか

強姦罪:暴行または脅迫をもちいて13歳以上の女子を姦淫した者は強姦の罪とし、3年以上の有期懲役に処する。13歳未満の女子を姦淫した者も、同様とする。

強制わいせつ罪:13歳以上の男女に対し、暴行または脅迫をもちいてわいせつな行為をした者は、6か月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の男女に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

刑法177条より

 

強姦罪・強制わいせつ罪の違い
強姦罪は「姦淫」となる行為の場合であり、
わいせつはそのような行為はないとしても性器を触る・もしくは男性器を見せる等、性的な犯罪全般を指すそうです。
また、刑法的に「強姦」の方が刑が重く、未遂としても強姦を目的にした脅迫や暴行は暴行未遂罪が成立されるとありますが
「被害者側に抵抗行為があまりなかったとみなされる」という理由から告訴を取り下げられることがあったそうです。

法定刑を強化された、「強制性交等罪」どんなものか?

 

・男性も被害者として認められる。
加害者を男性、被害者を女性とした強姦罪の性差がなくなり男性の被害も対象とされています。
上記にある通り、「女子」とあるとおり「男性」の被害者に関しては、法で裁く事ができない状態でした。
イジメで自慰行為を強要させられたり、男性から男性に対しての性的暴行をされた場合、今まで法的に訴える事ができなかったのです。

被害者の告訴がないと起訴できない「親告罪」の規定を削除。
被害者が自身が法廷に出て、当時の状況を述べたりする意見陳述をしないということです。
認定には、被害者がどのくらい抵抗をしたのかどうかが審議されるため
「抵抗をしたら殺されるのではないか?」という恐れから暴行に従わざる負えなかった状況や、「あまりの恐怖に動けなかった」という場合が往々にしてあるはずですが、「被害者側に抵抗行為があまりなかったとみなされる」ことで告訴を受理されないこともあったとのこと。また、被害者の出廷(意見陳述)も必要でした。

今まで強姦罪・強制わいせつ罪の対象から外れていた家庭内の性的虐待も含められる
家庭内での性的虐待を念頭に、親などの「監護者」が立場を利用して18歳未満の者に性的な行為をおこなったことを、暴行や脅迫がなくても罰することができる「監護者わいせつ罪」と「監護者性交等罪」を新設されるそうです。

・強姦致死傷罪の法定刑の下限も懲役5年から6年に変更。
懲役の下限を3年から5年に引き上げ、致死傷罪の場合も懲役下限を5年から6年にそれぞれ引き上げ、強盗や殺人と同等にし、懲役6月以上10年以下の強制わいせつ罪の一部もこれに含め、刑罰を強化。

強制わいせつ罪に含めていた一部の性交類似行為を「性交に準じた行為も処罰するよう改める。
強制わいせつ罪で扱われてきた性犯罪が強制性交等罪で裁かれるようになるということは、今まで6か月以上10年以下の懲役だった内容の性犯罪が5年以上の懲役になるという厳刑がなされることになります。

「強盗・強制性交等罪」に改正。
同じ現場で強姦と強盗をした場合、どちらが先かによって法定刑に不均衡があったため、「無期または7年以上の懲役」に統一。罪名を「強盗・強制性交等罪」に改正。
強姦罪では、強盗が先だと「強盗強姦罪」として「無期懲役または7年以上」が科される一方、強姦が先なら強姦と強盗の併合罪で「5年以上30年以下」となっていたそうですが、改正案は「強盗・強制性交等罪」を新設し、犯行の前後にかかわらず「無期または7年以上」と変わるそうです。

引用・参考:nippon.com 性犯罪を厳罰化LINEニュースより

 

新聞を読んで事件が起きていることを知っても
正直、どこか自分と遠くにある話のように思えました。
日本では、被害者の苦しみについての無理解がある事や「性犯罪」そのものに、間違った印象・接し方をしているがために加害者を放置し、加害者を生み出す社会問題の危険性に気づかせてもらいました。自分にも関わりがあることとして対処するべきものなのだと認識が変わりました。
摂理では性犯罪があると言われている人達からすると、え?と思うかもしれませんが、キリスト教福音宣教会-摂理においては性犯罪はないです。摂理の教祖がそういう行為をしたのではないか?と疑念を疑いを持たれている方いらっしゃるならば、この記事を通して性犯罪・被害者・加害者について一度考えていただく機会となれば幸いです。

被害者の苦しみ

性暴力犯罪の被害によりPTSD発症・家族・友人との人間関係・社会生活に大きなダメージを受ける。
小林美佳さんが被害者の思いをつづった本「性犯罪被害にあうということ」
その苦しみがつづられています。

小林さんは帰宅途中に男性2人組に車に連れ込まれて被害にあいました。
何年も苦痛にさいなまれるその心の傷と、周囲の人達に届かないその辛さについて向き合い
同じように性犯罪の被害で苦しんでいる人たちの手助けをしようと立ち上がった方です。

自己否定
「当時の私は外にでて人が集まるような所にいると、どことなく肩身の狭い思いがした。
自分がそこにいることを、いけない事だと感じていた。」

自分を責めてしまう
「わたしは社会にいることが許されない。
傷つけられても仕方ないくらいのレベルの人間なんだという思いが常にあった。」

人間不信になる
「私が被害者面をして過ごしたこの数年間、ものの見え方が、屈折していた。自分のことさえも。
だから、親、兄弟、友人、全ての人と上手くいかなかった。
自分のせいではないという思い、かといって、家族のせいでもない。」

「性犯罪被害にあうということ 著者:小林美佳 朝日文庫」より引用

 

PTSD
性暴力被害者は精神的な後遺症が重いと言われている。
自分にはどうすることもできないという無力感・生きる気力をなくす・記憶が抜け落ちる・自分を責める・自分は汚れてしまった自己嫌悪、自分が悪かったからこうなったという自責の念
<悩み続けているうちに、うつ状態になったり、感情や感覚が麻痺したようになる「解離状態」になることもある。
襲われた当時の記憶や恐怖が鮮明に蘇り、パニック状態を引き起すフラッシュバックに苦しむ人が多い。
突然起きるため、仕事や家事、通学に支障が出る人もいる。
加害者と同じいるの服・コロンの香り、車のエンジン音、さまざまなものが引き金になりうる。

「性暴力 読売新聞大阪本社社会部 中央公論新社」より引用

襲われた場所が、自宅であった場合は引っ越しをせざる負えず、一人で買い物に行けなくなった女性もいらっしゃるそうです。
帰宅途中あとをつけられて襲われた方や、一人暮らしで窓のサッシごとはずされて忍び込まれて暴行された方
道を訊かれ対応したら車に引きずり込まれた方、鍵を無くしたから一緒に探してほしいと言われて、暗がりに連れ込まれて強姦致傷に合った方、自転車走行中に転ばされて暴行された方など、
いつどこでも、誰にでもおこりうることなのだと・・・・・・血の気が引きました。

同僚から性暴力被害を受けた方は、仕事を辞めざる負えず、自宅で被害に遭った方は引っ越しせざるを得ず
なおかつ、社会的な保障・手助けがないという、精神的にも経済的にも苦痛を受ける続ける被害者の負担。
精神的な苦しみのなかで、被害届をだしても捜査がされない、もしくは精神的な苦痛を受ける配慮に欠ける対処を警察からされたり、周囲の人達からの言葉と態度に傷をさらに深める被害者の悲しみを知りました。

性犯罪の被害に遭った当事者とその家族・友人の心の辛さがどれほどのものなのか、
被害者の方々の声から計り知れない心の傷と痛み、「レイプは魂の殺人」といわしめるものだと、深く受けとめるしかないです。

<性暴力による主なトラウマ症状>

・心理面
抑うつ状態
無気力
自己否定
強い恐怖感

・社会生活
仕事が手につかない
ひこもりがちになる
人間不信に陥る
人間関係が疎遠になる
自傷行為を繰り返す
性の価値観が混乱する

・身体症状
頭痛や胃痛
不眠
ふるえがとまらない
過呼吸
動悸
食欲がなくなる

「性暴力 読売新聞大阪本社社会部 中央公論新社」より引用
 


二次被害
・警察の捜査:自宅で、被害に遭い警察を呼んだが、しかし着替えも治療も後回しで現場検証。事情聴取で繰り返し被害を説明しなければならない心理的負担。
・治療を受ける際に、医師から心無い言葉を言われて苦痛を受ける。
・家族や友達、恋人など被害者の周囲の人の言葉:大切な人が被害を受けて動揺し、やり場のない怒りや無念が募って「なぜ大声を上げて逃げなかったのか」と責めたり「犬に噛まれたと思って忘れなさい」と事実を矮小化させる言葉が被害者の心深く傷つけてしまう。

二次被害として、最近ジャーナリストの詩織さんが「セカンドレイプ」として警察や病院での対応の現状について上げてられていますが、医療・警察など携わる方には深くとらえて改善をしていただきたいと改めて思いました。
’セカンドレイプ’詩織さん「警察、病院は助けてくれなかった」AERA .dom

「解ってほしいんじゃなくて、分かろうとしてほしかった」と小林さん自身も
「性犯罪被害にあうということ 著者:小林美佳 朝日文庫」でおっしゃっています。
被害にあった事を告白する事の心理的負担そして、その思いを受け止めてくれる存在がどれほど必要なのかを考えさせられます。

「今まで築き上げてきたものが全部なくなった」「人生を壊された」
「被害を受けたのは自分なのに、隠れるように生きるしかない。」
声をあげることできずに苦しんでいる人達が多いことを小林さんはインターネットを通して知るようになったそうです。
そして被害者とやり取りをしていく中で、二次被害があることなどを通して、このままではいけないと実名を公表して性犯罪被害の手記を出版、講演活動をされています。

性被害者が共通して抱える生きづらさが見えてきた。性被害に蓋をして、あえて触れないようにするのが被害者のため・・・そんな周囲の態度に、仲間の多くが傷つき、身近な人との関係をこじらせ、理解してもらうことを諦めていた。
「悪いのは被害者じゃないのに。いつでも隠れていなきゃいけないの?」誰かが立ち上がって声を上げないと、思いは伝わらない。実名で、自らを語る覚悟を決めた。

「性暴力 読売新聞大阪本社社会部 中央公論新社」より引用

世間との溝を感じた時に、「社会に何を求めるのか?」小林さんは性暴力被害者に問いかけた時、
「あったかい気持ち、話を聞いてくれる人、理解」と、回答があったそうです。

被害届を出すのは4%。
被害者の多くは、自分を責めたり、家族や周囲の反応を考えて被害について話せずに一人で苦しみを抱えていると
性的暴力の被害にあった人に向けてアンケートを取られた際に明確になったそうです。

「性犯罪被害がどれだけ人を壊すのか、理不尽な世の中の現状を伝えたい。
少しでも多くの人に。自分に関係ないことじゃない。」直筆で回答された被害者のメッセージがありました。

「性犯罪に会うのは被害者側にも問題がある・性被害は恥ずかしいものだ」という社会の中に存在しているレッテルイメージ
から、被害者がさらに苦痛を受けている実状を知りました。

被害者の方々の癒えない心の痛みは「決して他人ごとではない」です。
なぜならば、いつだれもがその被害に遭う可能性があるからです。
また、自分の周りにいる友人・家族もその被害になるかもしれない事、すでに苦しみを抱えているかもしれない。。。
そう考えるようになりました。
PTSDに苦しみ、自殺される方もいらっしゃることなどを通して
社会的に、被害者の方に対して正しい接し方をするにはどうしたらいいのか?
そして、性暴力を未然に防ぐにはどうしたらいいのか?
それを具体的に考える必要があると思いました。

通勤通学の途中で、自転車を転ばされて暴行されそうになった高校生の女の子、
道を訊かれて答えようとしたところ車に引きこまれ乱暴された女性。
一人暮らしの部屋に侵入されて暴行された女性。。。
あってはならないことが平然と日常の中で起こってしまっている。
それが、性暴力・性犯罪の特徴であり、社会的に考えていくべき深刻な問題だと思いました。
このように考える事ができるようになったのは
被害を受けた方々が苦しみに立ち向かった方がたが勇気をもって立ち上がったからです。

性暴力被害から立ち上がったサバイバー

性暴力被害のダメージを乗り越えて、生き抜く被害者の方を「サバイバー」と呼びます。

「インターネットの世界は、絶対的な信頼も、安全も保障されていない。個人が好き勝手に意見するだけで、相手の顔を見ることも出来なければ本心を語っている保証もない。そんな不確かなものを頼り、支えにすることしかできないのだ。
家族から理解を得られず苦しむ前に、被害者駆け込みセンターがあったらどんなに気が楽だっただろう。警察みたいに捜査するところじゃなくて、「怖かったー」と泣きつける場所があったら。(中略)実際、私は被害にあってみて、後になってから、そういうセンターや団体があることを知った。警察や裁判所に付き添ってくれる人もいる。しかし、こうした情報を、警察や病院は教えてくれない。自力で探し当てるしかない。そんなパワーが被害直後にあるだろうか。・・・・・・ないはずなのに・・・・・・。」

性犯罪被害にあうということ 著者:小林美佳 朝日文庫」より引用

 

ご自身の体験を通して、もっと被害者が守られるように小林さんは自助センターに自ら支援員になりたいと申し出をされたり、
過去自分の事件の時に出会った女性刑事に被害救済センターのパフレットを被害者に渡すようにと提案をしに出向いたりされています。

すこしでも、自分の味わってきた苦しみを味わう人たちが少なくなるように。
その思いをもとに、PTSDの症状と戦いながらも弁護士や検察の方に向けての講演会・シンポジウム活動をされています。

サバイバーとして、活動される方々
2004年7月深夜車で帰宅途中、コンビニエンスストアの前に駐車すると、見知らぬ男が助手席に乗り込んできて「殺すぞ」と脅されながら人気のない場所まで運転させられ、殴られ、暴行された山本さん。
事件の記憶がフラッシュバックするたびに「殺されればよかった」「体を汚された」と苦しむ中、「そんなことはない、大切な存在だよ」と友人たちから支え続けてもらい「多くの支えから傷は癒え、また人を信じられた。一人で苦しむ被害者そして社会に向けて堂々と歌いたい」と被害体験から立ち上がる曲を作りチャリティコンサートされていました。

「STAND」

悲しくて
悔しくて
この涙がいつかきっとまた立ち上がり
前を向き
歩き出す時、新しい自分に出会えるはず

あの日の傷跡が強さに変わる
誰かを愛する優しさになる
立ち上がる
その足の道を照らす生きていく力になる

「性暴力 読売新聞大阪本社社会部 中央公論新社」より引用

山本さんは結婚されて今は二児の母となり育児に奮闘中とのことですが、当時のことを振り返ったブログ記事がありました。「性被害から12年。7月15日」
立ち上がって、元気に過ごされている姿に心から嬉しく涙がでました。

今はこのチャリティ活動はされていないそうですが、チャリティで得られた収益は
性犯罪撲滅を願って、性暴力被害者のを展示し社会的アピール活動をされているアフォトジャーナリストの大藪順子さんが日本で「被害者の素顔」プロジェクトに充てられていたそうです。
大藪順子さんはアメリカに住まわれていた時に自宅で性暴力被害に遭われた方です。
事件による精神的外傷の苦しみと戦い「レイプで人生を終わらせたくない」と性暴力被害者:サバイバーの写真を撮り、写真展を開く活動をされています。
大藪さんの活動とプロフィールについて東京人権啓発センターのTOKYO人権 第64号(平成26年11月20日発行)
にわかり易く紹介されています。

「アメリカでSARTやSANEが機能しているのは、被害者が勇気を持って声をあげ、その必要性を訴えたからに他なりません。また、国が認める仕組みなので、それに携わる人たちにきちんとした報酬があることも、うまく機能している理由の1つです。私は、被害直後から適切な支援を受けることができたからこそ、心の回復も他の被害者に比べて早く、金銭的負担もせずに済みました。こうしたシステムが日本にも必要です。」

TOKYO人権 第64号(平成26年11月20日発行)より抜粋

現在は横浜在住のようですが、「闇から救われた魂 「サバイバー」が語る被害者支援システム」産経WEST掲載記事)と活動を続けていらっしゃるようです。

小林美佳さんもインターネットサイト「Micatsuki-性犯罪被害者との交流-」を通して被害者との交流活動を続けてらっしゃいます。

性犯罪被害者は、いままで大事に扱われてきました。
それは、周囲の思いやりである一方、大事にされるがあまり
理解されにくく、触れられずにきました。
もっと堂々と手を差しのべてほしい、
もっと正しく理解してほしい
性犯罪の被害者にとって、
一番大切なのは、被害直後の支援・危機介入です。
受け入れる姿勢を、環境を確立させる活動を広げてください。

「Micatsuki-性犯罪被害者との交流-ごあいさつ より引用

 

『13歳、「私」をなくした私~性暴力と生きることのリアル~』(朝日新聞出版)の著者である山本潤さんは、実父から受けた性暴力により、20年以上苦しみと戦いながら生きぬいてこられた方です。ご自身の体験を通して、性犯罪撲滅を願って活動をされています。
以下は、AERA .dot「性暴力被害者が明かす 性的虐待の後に待っている想像を絶する苦しみと絶望」より抜粋

ニュースや報道に接したり、それを受けての周囲の人の反応を見ても、性暴力の実態はまだまだ理解されていないと感じる。被害者やその家族や身近な人が回復するための適切なシステムが整えられていない状況には、絶望感や諦めの気持ちを持つこともある。
でも、性暴力が実際にどのような被害であるのか、適切な対応をするためにはどうすればいいのかを知ることができれば、人々の反応も変わると思っている。
本書を読んで、これが性暴力被害者が抱える現実なのかと驚かれるかもしれない。
けれど、毎日の性犯罪・性暴力のニュースの背景には、その数だけそれぞれの闘いを引き受けながら生きている人たちがいる。
そして、実際に被害を受けたことがある人へ。
時にはページをめくるのも苦しくなることがあるかもしれない。
そのときはタイトルを見て読めそうな章やガイドを読んでいただくだけでもよいと思う。
この本を通して、日本社会に性暴力への理解が広がり、
こんな苦しみがなくなる日が来ること、
そしてあなたが回復への道のりを歩むときに、
この本が少しでも役に立ってくれれば嬉しく思う。

AERA .dot「性暴力被害者が明かす 性的虐待の後に待っている想像を絶する苦しみと絶望
山本潤さんのコメントより抜粋

どれだけ涙を流しただろう。
言葉にできない悔しさ、悲しさ、辛さ、憤りがあっただろう。。。
被害を受けた方々の判例とその後苦痛を、知れば知るほど、涙がこみあがってきました。
「性暴力 読売新聞大阪本社社会部 中央公論新社」から多くのことを教えてもらいました。
マスコミに対して摂理についてのあまりにもおかしな報道体験をしたのもあり、正直マスコミは信じられないという思いが強くなってしまっていたのですが、必要な情報・事実に基づいた情報を届けるマスコミもあるのだと希望が湧きました。

また、強制性交等罪が成立は被害者の方々の思い・言葉にできない苦しみを勇気を出して活動しつづけてくださった存在が大きいと思いました。苦しみと向き合い、そこから立ち上がった人生を懸けた訴えが、今回の法改正に届いたのだと感じました。
しかし、日本においてこの刑法成立に関してのニュースの取り上げ方や、社会的な反応をみると、やはり根深い偏見があること否めないと思いました。

「性暴力」について
「性」という誰もが持っている、人間の根幹部分にかかわるもの。
それを脅かす暴力行為。
人が人の心が傷ついているのだが、暴力であることは間違いありません。
「性」という部分をぼやかすのもおかしい。
だから「性暴力」。
暴力を受けた人たちに暴力の被害者であることを自覚してほしい気持ちと、
暴力をふるう側にも、周囲の人にも、「性暴力」というものが存在することを知ってほしい。
そして、その暴力がもたらす被害の現実を知ってもらえたらという願いを込めて、この言葉を使うようになりました。

「性犯罪被害とたたかうということ」著者:小林美佳より抜粋

性犯罪とは、性暴力
同意がない性行為は暴力。
「1 is too many = たった一度だけ起きたとしても、『もうたくさん』な出来事なのだから」と、2014年にオバマ政権時のホワイトハウスが「1 is 2 Many」という動画を配信しています。⇒アメリカ政府による「女性への性的暴力撲滅」を訴えるバイラル動画『1 is 2 Many』

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性暴力加害者はなぜ生じるのか?

 

性犯罪は、性欲から衝動的に犯す印象が日本においては大多数あり、
アメリカでは、支配欲だと見なされているそうです。
つまり、精神・思想的なところに問題の根本があるとみているということです。
受刑者の特徴と性暴力加害者の実体に迫った「性犯罪者の頭の中 鈴木伸元 幻冬舎新書」
こちらの本は性犯罪を犯した受刑者にインタビューした内容です。動機や性犯罪者の傾向がまとめられています。
実際の性犯罪者の傾向と動悸を深くみると、性欲ではない、内面的な精神・思想における問題点が見つけられると、事例を挙げられていました。「性暴力 読売新聞大阪本社社会部 中央公論新社」にも、加害者への取材記事もあったので
それぞれを読んで、性犯罪者の傾向が見えた部分をまとめてみました。

ありえないことに、加害者が「悪いことをした」と思っていない場合もあり、被害者はそれによりもっと苦しみを受けるケースに愕然としました。

※以下、抜粋・引用等する中に事件内容があらわになる部分があり気分が悪くなるかもしれません。
お読みになる際はお気を付け下さい。

 

性犯罪者の特徴

・集団犯行:初犯が多い※日本における特徴
最近の事件)千葉大・東京大など、飲み会で集団レイプをするという事件が起きていますが、この事件の特徴としては、初犯者が多いとのこと。計画性はなく、酔った勢いというような集団・酒というのがこの事件での共通点かつ、女性に対して蔑視・軽視する傾向が根底に見られます。

エリート大学生に集団性的暴行が多発する理由-週刊女性PRIME」でも取り上げられていますが、女性に対しての認識の問題です。
劣っているものはどう扱ってもよい。
女性は劣っている存在だから何をしてもいい。
最近起きた、東大の集団レイプ事件においてもそういう認識があったと公判で被告が認めていたという情報を目にした際に、驚きを禁じ得ませんでした。

その場の集団心理の恐ろしさ
2009年5月通りがかりの女性を男性4人が軽ワゴン車に無理やり押し込み集団強姦致傷罪に問われた被告の弁明。
「レイプ行こうや」その一言に「みんなで盛り上がり、反対する者はいなかった。場の雰囲気を崩したり、仲間に嫌われたくなくて断れなかった」そういう弱い心から集団レイプをしたという、ことですが被害者の女性は外を一人で歩けなくなるほどの心理的外傷を負ってしまったそうです。軽はずみだったという言葉では済まされない、恐ろしい暴力だということを、どうしたら加害者が理解できるのだろうか・・・と茫然とした心持ちぬぐいきれません。

集団強姦罪とは

集団強姦罪は、複数のものが共同で強姦罪を犯した時に適用される。
私立イベントサークルの学生らが酒に酔った女子大生を乱暴した事件をきっかけに、2004年12年の刑法改正で新たに設けられた。
集団強姦罪の法定刑は、単独の強姦罪(懲役3年以上)よりも重い。「4年以上の有期懲役刑」だ。若者を中心に適用されるケースは後を絶たない。共通するのは仲間うちの「ノリ」で犯行に走る安易さと、性被害の深刻さへの無理解だ。
「性暴力 読売新聞大阪本社社会部 中央公論新社」より引用

 

・単独犯:再犯が多い

単独犯における特徴は、再犯。
「成人の性犯罪者の半数は少年時代に性犯罪に手を染めている。最初はのぞきや痴漢でも、欲望を満たすにつれ、ゆがみが深まり、犯行がエスカレートする」大阪大学 藤岡淳子教授
なぜ、再犯が多いか?それは女性に対しての「認識のゆがみ」と、ストレスに対処する方法に原因と問題があると指摘されています。

性犯罪を犯す動機と原因。
複数件強制わいせつ行為で起訴された受刑者の動機
「妻との関係もうまくいかずむしゃくしゃしていた。何かを支配したいという欲求が、犯行によって満たされるようになった。」
「毎日が面白くなくて、自分の欲望を満たすことばかり考えていた。罪悪感があり、捕まるかもしれないとドキドキした。だけど時間がたつと罪の意識が薄れ、スリル感や興奮だけが残ってしまった。」行動は次第にエスカレートし、女性を脅して下半身や胸を触るようになった。

2年あまりで10人以上を襲った男性受刑者
「きっかけは交際相手とケンカをして、憂さ晴らしに」「気分がすっきりした。またやってしまったという後悔、ばれないかという焦りもあったがやめられなかった」

一人暮らしの女性の自宅に侵入し暴行する犯行を繰り返した被告
「元妻や交際相手に冷たくされたことを恨みに思い、世の中の女性を懲らしめてやろうと思った」

性暴力加害者に見受けられる共通点
自信のなさ・弱さ・思うようにならない日常への鬱憤。

 

犯行を繰り返される理由の一つ⇒「認識のゆがみ」

「別に強姦したわけじゃないんだし、被害女性はそれほど事件を気に留めてない」
現実をまげて捉える「ゆがみ」は性犯罪者の特徴のうちの一つ。
また、ありえないことに、相手と親しくなったと思い込んでいる加害者もいるとのこと。。。
認識のゆがみが統計に表れています・・・・↓

<性犯罪者 容疑者553人(平均年齢28.7歳)と無作為に抽出した一般男性688人との比較>
「女性は嫌だと言っても本当はそんなに嫌がっていない」容疑者:21.1% 一般:2.5%
「セックスしてしまえば、女性は自分のものになる」容疑者:13.5% 一般:0.9%
「女性は誰でも強姦されてみたいと思っている」容疑者:4.5% 一般:0.6%
警察庁科学警察研究所主任研究官の経験を持つ内山絢子教授(心理学)の調査
「性暴力 読売新聞大阪本社社会部 中央公論新社」より引用

女性に対してのゆがんだ認識
ある性犯罪者が「人を殺したら悪いことだが、性行為は減らないものだから。」と話していたそうです。
しかし、このような捉えかたは、実は加害者だけでなく日本の社会にもあるそうです。
また、加害者側に、女性に対しての認識のゆがみがあり、
被害者がどれだけ苦しんでいるのか、考えもしていない傾向があることが否めないです。

どこから、そういう認識が構築されるのか?
最近、成人向け漫画の性犯罪の手口をそのまま行なった事件がありました。(放射能の検査をするといって玄関に入り、脅しながら体を触ったという事件)この事件にたいして、警察が漫画を描いた作者に「今後はこのような表現をしないように要請をした」ということで警察の対応の仕方に疑問と懸念があると声が上がっていますが、
事実、漫画だけでなく、インターネットの動画や、アダルトビデオから影響と受けるというよりは、その内容をそのまま現実に行なって逮捕されている加害者がいること。それが、表現の自由とか、閲覧する個人の自由とかを超えて、加害者が生じている、そのことに対して、社会全体で考える必要があるのではないかと思いました。

なぜならば、性暴力の重犯者の共通点として
アダルトビデオやネットの痴漢動画・違法動画をみて、これならできると思って犯行に及んでいる事実があるのです。

アダルトビデオでは、嫌がっていても結局は受け入れる。女性はそういうものだと思っていたと言う被告。
DVDだけでは興奮したり満足できなくなったのでそのように実際女性を襲うようになった犯行時、高校3年の被告。

AVのシナリオ通りにマンションで一人暮らしの無線上の部屋に侵入し就寝中の女性を襲う手口で10件以上の犯行をおこなった被告の供述。。。
「AVを見て、自分もできるとおもった」「被害者とは仲よくなれたと思っていた。そんなに傷ついているとは思わなかった」
「女性はレイプを嫌がっても、最後にはAVのように喜んで抵抗しなくなると思っていた」

近畿地方の被害女性は帰宅途中に跡をつけられ部屋に押し入ったその犯行方法は加害者が見たAVの内容そのままだったとのこと。
事件前にAVを繰り返し見て「実践してみたくなった。」という供述。
同様の手口で犯行を重ね、被害者は6人。

どうしてアダルトビデオの規制がないのか、と被害者の方の声に大きく共感するしかないです。

なぜ性犯罪のほとんどは計画的犯行なのか?

計画通りに成されることで達成感が大きくなり、小学生から、中学生、中学生から高校生、大学生と段階を上げて行って犯行を繰り返した受刑者に迫った記録がありました。(「性犯罪者の頭の中 著者:鈴木伸元」)
これは、特定の受刑者に限ったことではなく、性犯罪者として受刑する人たちの共通項だそうです。
よって、性犯罪者の更生プログラムには、認識のゆがみを認知させ、矯正をうながす心理療法を実施されています。
ただ、諸外国よりも、実施時間が圧倒的に少なく、出所間際の短時間で行われているため、それだけでは改善されないのでは?と関係者もまた受刑者自らも、自分はまた同じことを繰り返してしまうのではないか?という不安に駆られているそうです。
社会に出てからも更生を助ける存在が必要ではないか?という精神科医の見解もあります。
実際、カナダなどでは受刑者が社会に戻ってから再び同じ罪を犯さないようにと、サポートをする存在があるそうです。
しかし、日本では一部のクリニックで対応をしているだけであり、国としての取り組みはない状況です。
ゆえに、体質になってしまった衝動・脳の思考回路に恐怖と絶望を抱いて、出所後に自殺する人もいるそうです。

どうして、繰り返すのか?

なんらかのストレスを自慰行為・性的興奮でまぎらわせるような対処する中で、犯行に及ぶようになる「犯行のサイクル」が生じるそうです。
これは、脳が刺激を受けると、よりもっと強い刺激を求めるという脳の特徴が、犯罪計画が達成されることで、より強い興奮が生み出されるようになり、ストレスと共に条件反射のような犯行サイクルが成り立つようになってしまうという構造です。

そのために、加害者更生プログラムとして「自分がどういう状況で犯行に至ったのか理解させる」認知行動療法の指導が実施されています。

実施の対象になる受刑者が少ない現状について触れられている記事⇒性犯罪「再犯防止プログラム」に効果はあるのか

 

性犯罪裁判の判決について

日本における強姦罪・強姦未遂罪さまざまなの判決事例を読みました。
被害に遭った方はもう事件前には戻れないと癒しがたい傷を負われているにもかかわらず、証拠不十分で不起訴となった判例もあれば、未遂だとしても被害者が心理的外傷を得て、社会生活が困難になっているという見解から求刑どおりに厳刑で裁かれた判例もありました。
また別の判例では、小学生から社会人女性にまで十数件の性的暴行を繰り返した被告に対して、無期懲役を望むのは当然だとおもいますが懲役30年という実刑判決を出されているものもありました。理由は、十分に社会的な制裁を受け本人が犯した罪の重さを自覚し反省をしているという点考慮したとのこと。しかし、この被告は社会に出てからまた同じ犯行に及ぶ可能性があるかもしれないから、更生プログラムの時間をもっと増やしてほしいと自ら希望しているそうです。

つまり、裁判員によって「判決がかなり変わる」ということです。
司法が絶対ではないという事を目の当たりし
やはりあってはならない冤罪が、確かにあることを自然と物語っているとも思いました。

冤罪を防ぐには。。。
最近、痴漢を疑われた男性が線路に降りて逃げるという事件が続けて起きていますが、痴漢は冤罪になるというイメージが強い為そのような行動に出るのではというコメントが多いですが、痴漢だけでなく、レイプでの冤罪もあります。
被害者の供述と実際のDNAの検査結果により、冤罪だったことが投獄10年経て判明したアメリカの事件があります。
自分の間違いで、他人の貴い10年を奪ってしまったと、自責の念を持たれた被害者の女性は、性犯罪の冤罪活動をされているそうです。

日本では富山の強姦事件で実刑判決を受け、服役後に無罪が確定した判例があります。(2007年3月5日 朝日新聞 朝刊)
どうして、この方は冤罪になったのか?というと、「お前の姉さんが、間違いないから、どうにでもしてくれと言っている」という嘘の誘導取調べによって、見捨てられたような気持ちになってしまい、嘘の自白をしたことで服役をするようになったそうです。
嘘の自白を誘導させられていたことが明らかになった「足利事件」
2010年に再審で無罪が確定した足利事件の菅家さん(17年以上、獄中生活を余儀なくされました)はDNAの再検査により無実が確定されましたが、取り調べの録音テープにもあらわになっている警察の横暴さを知り、冤罪がこのように起きるのだとショックを受けました。

裁判官の判断によって判決が大きく変わるという事だけでなく、このように検察の取り調べ・調査に問題があるということを意外にも知られていません。

冤罪が起こらないようにするためには、
まず冤罪が起きている事実を忘れてはならず、冤罪ではないか?という視点を持つことが必要だと思いました。

冤罪についてリアルにわかる映画の論考⇒「それでも僕はやっていない」小島国際法律事務所-論考

チョンミョンソク牧師の判決も冤罪です。

もしチョンミョンソク先生が実際、加害者ならばその立場を利用して被害者が多く出てもおかしくないはずです。
実際、ワイドショーなどのような事実確認せずに情報発信されている内容にそういった話が散見されますが、
性暴力加害者に見られる思想の問題・ゆがみのある言動を私はチョンミョンソク先生から一度も見たことも聴いたこともありません。

今でも先生は、どうしたら心と考えをよりよく作ることができるのか?
その自由がない場所・状況だとしても、丁寧にコーチして下さっています。
主日礼拝の説教原稿だけでも9年間だと約470回です。
それに加えて、水曜礼拝の説教原稿や金曜のお祈り会の原稿まで送って下さってきました。

そのような牧師先生は他に見たことも聴いたこともありません。
なおかつ、チョンミョンソク先生は全部手書きで原稿を書かれているんです。
一人で20回以上校正もされて・・・。時間が足りないから、ご飯を抜くそうです。
そして死なない程度に食べて、倒れないように運動をして自己管理を徹底しているそうです。

どうして、そこまでできるのか?計り知れない、信仰と精神力と神様の愛を見せて下さっていると私は思います。
無実なのに、社会的に「犯罪者」の烙印を押されその場所で閉じ込められるならば、自暴自棄の心が生じてもおかしくないはずです。しかし、先生はそうされることなく毎日、毎週、時計のように、私たちによりよく生きることについてメッセージを送り続けて下さっています。
罪を犯した人がより良い生き方をコーチすることが出来るでしょうか?
罪がある場合、人に何かを教える前に自分のことで手一杯になるのではないでしょうか。

地球上から性犯罪・性暴力をなくすために!

性暴力の実情を伝える報道をする場合、
被害者の方の心情を考えて「強姦」という言葉を使うことを控えて
「暴力」「暴行」という表現をすると記者が語っているのを見ました。

たしかに、被害者の方がたが一生闘い続けるであろう心の傷を考えると、
表現に気を付けること、配慮するのは当然だと思いました。

しかしながら、インターネットや電車の中づり広告で目にする見出しや内容について、心が痛くなる時があります。

そういった表現をされる方は、アダルトビデオなどの媒体から知らないうちに影響を受けてしまっているのではないかと伺えます。またそういう文章をのさばらせてしまっていること自体、性暴力に対しての無知と無関心が日本社会にある証拠であり、事実を見えさせなくさせる、誤解・レッテルを生じさせているのではないかと思いました。

性暴力犯罪の厳罰化の成立はしても、根本的な問題の対処については一人ひとりが知る必要性を痛切に感じます。
被害者に問題、落ち度があったのではないか?と被害を受けている人が逆に責められるような言葉を掛けられることが少なくなく、それによってさらにダメージを受けてしまう二次被害も深刻です。

しかし逆に言えば
無知や認識の誤りによって、加害者や被害者が生じるのならば、
性暴力・性犯罪についての認識を正しく持つことで加害者と被害者をなくすことができる可能性があるのではないでしょうか?

まずは、無関心をなくすこと。
これが、解決に向かうスタートだと言えます。